【税務相談】損害賠償金の損金算入時期

【税務相談】損害賠償金の損金算入時期について

【質問内容】

当社は取引先の会社から500万円の損害補償請求を受けています。
当社としては400万円までは支払う意思があり、現在、相手先との間で、減額の和解交渉を行っています。
当社は3月決算の会社ですので、当期(平成x1年3月期)決算において最少支払予定額の400万円を特別損失に計上しようと考えていますが、この金額について、当期において損金算入できるか否かをご教授ください。

繰り返しとなりますが、現時点の状況を整理すると、以下の通りとなります。
・先方からは、500万円の損害賠償請求を受けている
・当社は平成x1年3月中に顧問弁護士とともに先方を訪問し、 100万円の減額を打診した
・平成x1年3月期決算において、400万円の特別損失を計上
・なお、保険金等により補填される部分はありません。  

 

【Point】

法人税法基本通達2-2-13(損害賠償金)によると、
①当該事業年度終了の日までにその賠償すべき額が確定していないときであっても、
②同日までにその額として相手方に申し出た金額に
③相当する金額を当該事業年度の未払金に計上したときは、これを認める とあります。  

 

【回答】

法人税法においては、期末までに債務が確定していない費用については、損金の額に算入できない(税務上の費用とは認められない)ものとされています。
ただし、損害賠償金については、一定の場合において、その債務が期末までに確定していないときであっても、その損失を計上した事業年度の損金の額に算入することが認められています。

本件に関しては、同通達に規定されている要件について、①及び③の要件は明らかに満たしていると考えられます。
なお、保険金等により補填される部分はないとのことです。
そうしますと、②の要件を充たすことを検討することになります。

ここで、同通達に規定される「相手方に申し出た」ことが明確になっており、将来の税務調査においてもそれを十分証明できるような根拠資料があれば、当期の損金の額に算入することは可能と考えられます。
すなわち、貴社がその金額(400万円を支払うこと)を申し出たこと、また、その400万円を支払うことについては当事者間に争いがないことを容易に判断できる資料があることが、当該要件を充たす上で重要と考えられます。

この場合、相手方と交わした「合意書」や「覚書」など、実際に相手方と合意していることが明らかであり、その金額や合意した旨が明確に記載されているような資料がこれに該当するものと考えられます。

一方で、口頭による申し出だけであったとしても、例えば、先方に貴社の賠償金額を申し出た際(先方との間で最少支払予定額について合意した際)の打ち合わせ議事録や社内報告書などにおいて、先方と合意した経緯等が明らかであり、当該金額について返還されないことが明らかであると説明できる資料があれば、当該要件を充たすものと主張する余地はあるものと思われます。  

 

下島聡司税理士事務所
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