【確定申告の基礎】領収書のギモン③~領収書をなくしたときの対処法~

  事業に必要な経費を支払ったら、領収書をもらって、帳簿に記載する必要があります。

でも、領収書をもらい忘れてしまったり、なくしてしまった経験は誰でもあるかと思います。

確定申告では、領収書がなければ経費とは認められないのでしょうか?

今回は、そもそも領収書をもらえなかったときや、領収書をなくした場合の対応方法についてまとめてみました。  

【確定申告の基礎】領収書のギモン③~領収書をなくしたときの対処法~

確定申告で領収書は必要か?

前2回の記事でも書きましたが、実のところ、個人の方に確定申告を義務付けている所得税法という法律では、経費を計上するために領収書が必要であるということは明確に書かれていません。

ただし、全く根拠書類がないと、誰もが勝手に経費を架空計上したり、金額を水増ししたりできてしまうため、「実際に支払ったこと」「事業に使われたこと」などを証明できるような根拠書類が必要ということになります。

そこで確定申告では、「支払いの事実」を証明する書類として通常入手するはずの領収書を、経費として認めてもらうための証拠書類として使っているということになります。  

 

領収書もレシートも無い経費はどうしたらよいか

上記の通り、確定申告で経費にするために領収書は必須ではありませんが、基本的には領収書やレシートなどの証拠書類があった方が良いと思います。

ただ、もともと領収書がもらえないような支払いもあるかと思います。

例えば、次のような支払いについては、領収書がなくても経費にすることができます。

 

ご祝儀やお香典

出金伝票やブロックメモ、現金出納帳などに支払った記録をする 招待状や香典返しなどを保管しておいて、金額をメモしておくことでも良いかと思います。

公共交通機関

出金伝票やメモに記録するか、交通費のエクセル明細などを作成する スイカなどの交通系電子マネーに一元化して、利用記録を定期的に入手する

取引先と飲食して割り勘で払った場合

居酒屋などでは、領収書を分けて発行してくれる所もあります。

できれば領収書を発行してもらって下さい。

もし大人数の場合などで難しい場合には、出金伝票やメモに、「誰と」「どこで」「いくら」払ったかといった情報を記載しておくようにしましょう。

事務所家賃

毎月定額の家賃が口座振替などで自動引き落としされる場合、領収書は発行されないことがほとんどです。

そんな場合には、請求書や契約書などの金額が分かる書類を保管するとともに、引き落とし口座の 消費税の納税義務がある場合でも、帳簿に「口座振替のため」などと記載した上で、支払先の住所等を記載すれば良いとされています。

なお、支払先の名称や、「○○月家賃」といった事項も摘要欄に入力しておく必要があります。

課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円以上である場合において、請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由がある場合には、帳簿に法定事項に加えて当該やむを得ない理由及び当該課税仕入れの相手方の住所又は所在地を記載することを条件に、仕入税額控除を認めることとされています(法307、令491二)が、照会のような場合には、消費税法基本通達11-6-3(5)《請求書等の交付を受けられなかったことにつきやむを得ない理由があるときの範囲》の「その他、これらに準ずる理由により請求書等の交付を受けられなかった場合」に該当しますので、照会のとおり取り扱って差し支えないものとします。 なお、この場合、帳簿には、やむを得ない理由として「口座振替のため」等と記載することで差し支えありません。 (出典)http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/18/07.htm

 

領収書を無くしてしまったときの対処法

領収書やレシートで証明される必要経費を入れ忘れたら、どうなるでしょうか?

経費に入れていれば本来は税金を払わなくてもよかったのに、確定申告で払う税金が増えてしまいます。

所得税と住民税の税率は、合わせて15%~です。 10,000円の領収書を入れ忘れるだけで、最低でも1,500円のお金を損していることになります。

ちょっと高めのランチ一回分です。 領収書やレシートは絶対に無くさないことが必要ですが、万が一無くしてしまったときはどうしたら良いでしょうか?

そのような場合には、まずは買ったお店に再発行を依頼してみてください。

再発行は受け付けていないお店もありますが、中には再発行に応じてくれるお店もあります。

なお再発行された領収書には、「再発行」というスタンプや印字がされるケースが多いので、元々の領収書が出てきても、そちらは破棄する必要があります。

なお、もし再発行をしてもらえなかったら、最後の手段として、出金伝票で対応する方法もあります。

ただし、出金伝票だけだと本当に購入・支出したことの証拠能力に乏しいので、できるだけ支払いを裏付けられるような資料を別途用意しておいたほうが良いと思います。  

 

領収書をなくさないためにも

領収書や事業関連の書類を保管するファイルやボックスを用意しておいて、領収書をもらったらすぐに、そのファイルやボックスに入れて保管するようにしましょう。

またファイルに入れたら終わりではなく、最低でも1ヶ月に1回は書類を整理して、できるだけ早めに会計ソフトへの入力をすることをお勧めします。  

 

最後に

確定申告で経費を入れ忘れると、所得税と住民税(場合によっては事業税も)の税率相当分だけ、税金を多く払わなければなりません。

領収書は絶対に無くさないよう、もらったらすぐに保管するようにしましょう。

領収書については、今後も数回にわたってご説明したいと思います。 ご興味のある方は、次の記事もご参照ください。

 

領収書関連の記事

【確定申告の基礎】領収書のギモン①~確定申告に必要な領収書とは?~
【確定申告の基礎】領収書のギモン②~領収書かレシートか~
【確定申告の基礎】領収書のギモン③~領収書をなくしたときの対処方法~(この記事です)
【確定申告の基礎】領収書のギモン④~その他のQ&A~(2017年1月16日公開予定)
【確定申告の基礎】控除証明書をなくしたときの対処方法~(2017年1月17日公開予定)    

 

 

確定申告受付中


当事務所では、確定申告のお申込み受付を開始しています。

お早めにお申込み頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。

サービス内容や料金についてご不明な点等ございましたら、ご遠慮無くお問い合わせください。

 確定申告の詳細はこちら   


 

 

下島聡司税理士事務所
  • 対応地域
    杉並・中野・吉祥寺をはじめ東京・神奈川・千葉・埼玉ほか関東全域、日本全国対応
  • 事務所
    〒167-0042
    東京都杉並区西荻北2-3-9
    トラストビル5F
  • 連絡先
    03-6454-7471
    contact@shi-tax.com