国際税務

【国際取引の税務~支払編・事例⑨〜】外国法人等が所有する不動産を購入した場合

【国際取引の税務~支払編・事例⑨〜】外国法人等が所有する不動産を購入した場合

ここ数年、海外からのインバウンド投資により外国人投資家などが日本国内の不動産を購入するケースが目立ってきています。

また、Airbnbなどの民泊も注目されており、特に2020年の東京オリンピックに向けて東京都内の不動産の人気は未だに高いものと思われます。

今回は、外国人などが所有する不動産を購入した場合の取扱いについてご紹介します。

【支払編・事例⑨〜】外国法人等が所有する不動産を購入した場合

 

【質問】
外国法人が所有する不動産を購入したら源泉徴収が必要?

当社は、自社ビルの移転のため国内の土地付建物を購入することになりましたが、その前所有者が外国法人でした。

この場合、その不動産の購入対価の支払時に源泉徴収は必要でしょうか?

 

 

ご質問への回答

ご質問のように、非居住者や外国法人などから、国内にある土地や建物などを購入した場合には、その対価の支払時に10.21%の源泉徴収が必要となります。

 

解説

源泉徴収は必要か

国内法によると、非居住者や外国法人(※)から国内にある土地や建物などを購入した場合には、その対価の支払時にその支払額の10.21%を源泉徴収しなければならないことになっています。

(※)対象となる支払先については、下記「支払先として注意すべき人や法人」も参照ください。

租税条約においても土地や建物についてその所在する国における課税が認められていますので、基本的には同様の取扱いとされます。

この制度の対象となるのは、土地や土地の上に存する権利、建物及びその附属設備、構築物とされています。

 

例外として、その土地等の対価が1億円以下で、かつ、その土地や建物を個人の居住用(本人や家族が住むため)に購入したような場合には、源泉徴収が不要とされています。

従って、その購入者が法人の場合には、この例外の取扱いはありません。

 

源泉徴収しなければならない人は?

この規定により源泉徴収しなければならないのは、上記のような支払いをする個人や法人です。

国内における源泉徴収として一般的な、税理士やデザイナーなどの報酬や料金について源泉徴収すべき者については、法人又は給与等の支払いを行う個人とされています。

しかし、この規定に限っては、一般のサラリーマンや主婦などの個人であっても、源泉徴収しなければならない点にご注意ください。

 

支払先として注意すべき人や法人は?

この規定により源泉徴収が必要となるのは、次のような方に対して土地や建物の対価を支払う場合です。

一般的には外国に本店等を有する法人(「外国法人」)や外国人である個人(「非居住者」)になりますが、次のような方に対する支払いについても源泉徴収の対象になりますので、注意が必要です。

 

「非居住者」
国内に住所を有しない個人で、国内に引き続き1年以上居所を有しない者を言います。

→例えば、日本人であっても、海外転勤などにより1年以上の予定で出国した方は「非居住者」となり、この規定の対象となります。

 

「外国法人」
外国に本店や主たる事務所を有する法人を言いますので、通常は日本法人以外となります。

→従って、例えば日本に支店を有する外国法人も対象になりますが、外資系企業の日本法人については対象とはなりません。

 

源泉徴収の手続き

源泉徴収の手続きについては、こちらの記事を参照下さい。

【参考記事】
【国際取引の税務~支払編④~】源泉徴収の手続き(租税条約届出書、納付、法定調書)

 

租税条約の適用を受けることができる場合には、こちらの記事も参照ください。

【参考記事】
【国際取引の税務~支払編⑥~】租税条約による特例を受けるための手続き

なお、外国法人等から土地や建物を購入した方が法人である場合や、不動産業を営む個人の場合には、支払調書を提出しなければならないことになっていますので注意してください。

 

さらに言えば、その土地や建物を譲渡した非居住者・外国法人については、日本において所得税または法人税の申告義務があります。

 

参考条文

所得税法161条一号の三、同212条、同213条
所得税法施行令281条の3
所得税基本通達161-7、同161-7の2 ほか

 

 

当ブログでは、代表的な事例を基に基本的な考え方をご紹介しておりますので、全てのケースに該当するものではありません。
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(更新予定)
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