国際税務

【国際取引の税務~支払編・事例⑩~】外国法人等が所有する不動産の賃借料を支払う場合

【国際取引の税務~支払編・事例⑨〜】外国法人等が所有する不動産を購入した場合

ここ数年、海外からのインバウンド投資により外国人投資家などが日本国内の不動産を購入するケースが目立ってきています。

また、Airbnbなどの民泊も注目されており、特に2020年の東京オリンピックに向けて東京都内の不動産の人気は未だに高いものと思われます。

今回は、外国人などが所有する不動産を賃借した場合の取扱いについてご紹介します。

【支払編・事例⑩~】外国法人等が所有する不動産の賃借料を支払う場合

 

【質問】
外国法人が所有するビルの賃借料に源泉徴収は必要か?

当社はこの度、営業所を新たに増やすことを予定しており、小さなオフィスビルを1棟借り上げることになりました。

このオフィスビルのオーナーは外国法人とのことですが、毎月の賃借料の支払いに源泉徴収が必要と言われています。

これは正しいのでしょうか?

 

 

ご質問への回答

ご質問のように、非居住者や外国法人などから、国内にある不動産を借り受けてその賃借料を支払った場合には、その対価の支払時に20.42%の源泉徴収が必要となります。

 

解説

源泉徴収は必要か

国内法によると、非居住者や外国法人(※)から国内にある不動産を借り受けてその賃借料を支払った場合には、その対価の支払時に20.42%を源泉徴収しなければならないことになっています。

(※)対象となる支払先については、下記「支払先として注意すべき人や法人」も参照ください。

租税条約においても土地や建物についてはその所在する国における課税が認められていますので、基本的には同様の取扱いとされます。
(船舶や航空機については、租税条約と国内法で取扱いが異なる場合があります)

この制度の対象となるのは、国内にある不動産及び不動産の上に存する権利の貸付けによる対価や、採石権、鉱業権、船舶又は航空機の貸付けによる対価とされています。

 

例外として、個人の方が、自分や家族の居住用に土地や家屋等を借り受けた場合には、源泉徴収が不要とされています。

従って、その賃借料を支払うのが法人の場合には、この例外の取扱いはありません。

 

源泉徴収しなければならない人は?

この規定により源泉徴収しなければならないのは、上記のような支払いをする個人や法人です。

ただし上述のとおり、個人の方が、自分や家族の居住用に土地や家屋等を借り受けた場合には、源泉徴収が不要とされています。

 

支払先として注意すべき人や法人は?

この規定により源泉徴収が必要となるのは、次のような方に対して土地や建物の対価を支払う場合です。

一般的には外国に本店等を有する法人(「外国法人」)や外国人である個人(「非居住者」)になりますが、次のような方に対する支払いについても源泉徴収の対象になりますので、注意が必要です。

 

「非居住者」
国内に住所を有しない個人で、国内に引き続き1年以上居所を有しない者を言います。

→例えば、日本人であっても、海外転勤などにより1年以上の予定で出国した方は「非居住者」となり、この規定の対象となります。

 

「外国法人」
外国に本店や主たる事務所を有する法人を言いますので、通常は日本法人以外となります。

→従って、例えば日本に支店を有する外国法人も対象になりますが、外資系企業の日本法人については対象とはなりません。

 

源泉徴収の手続き

源泉徴収の手続きについては、こちらの記事を参照下さい。

【参考記事】
【国際取引の税務~支払編④~】源泉徴収の手続き(租税条約届出書、納付、法定調書)

 

租税条約の適用を受けることができる場合には、こちらの記事も参照ください。

【参考記事】
【国際取引の税務~支払編⑥~】租税条約による特例を受けるための手続き

 

参考条文

所得税法161条三号、同212条
所得税法施行令328条二号
所得税基本通達161-12、同161-13

 

 

当ブログでは、代表的な事例を基に基本的な考え方をご紹介しておりますので、全てのケースに該当するものではありません。
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(更新予定)
海外企業に支払いをする際に気をつけること
源泉徴収の要否を判定する(基本的な流れ)
源泉徴収しないとどうなるか
源泉徴収の手続き(租税条約の届出、納付方法、法定調書など)
海外企業に仕入れ代金を支払う場合
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