海外のコンサルタントに支払う報酬の源泉徴収【国際取引の税務~支払編・事例⑮〜】

【国際取引の税務~支払編・事例⑮〜】海外のコンサルタントに支払う報酬

海外展開している企業であれば、海外のコンサルタントに仕事を依頼するような機会もあるかと思います。

コンサルタントが業務を行う場所や、依頼する仕事の内容によっては、日本において源泉徴収が必要となる場合もありますので注意が必要です。

【支払編・事例⑮】海外のコンサルタントに支払う報酬

 

【質問】
現地のコンサルタントに支払う報酬に源泉徴収は必要か?

当社は海外進出を検討しており、手始めに市場調査を目的として現地駐在員事務所を開設し、駐在員を派遣しています。

この度、現地の市場動向に詳しい現地在住のコンサルタントと契約し、市場調査レポートの提供や、駐在員とのミーティングによる情報提供などを依頼することになりました。

コンサルタントへの報酬は駐在員事務所から支払うことを予定していますが、何か注意すべき点はありますでしょうか?

 

 

ご質問への回答

ご質問のように、コンサルタントから海外で受けたサービスに係る対価については、国内法及び多くの租税条約においては、源泉徴収は必要ありません。

ただし、インドやパキスタンなどの租税条約においては、海外で受けたコンサルタントのサービスであっても、源泉徴収が必要となるケースがありますので注意が必要です。

また、そのコンサルタントが来日して仕事をする場合や、その依頼する仕事の内容によっては、日本において源泉徴収が必要となる場合もありますので、契約内容などを慎重に確認する必要があります。

 

解説

国内法の取扱い

日本に居住していない外国人(税法用語で「非居住者」とされる方)に対して、その者が日本において行った次に掲げる人的役務の提供に基づく報酬を支払う場合には、その支払いの際に、その支払う金額の20.42%を源泉徴収することになっています。

(1) 映画、演劇の俳優、歌手、音楽家その他の芸能人又は職業運動家の人的役務の提供に対する報酬

(2) 弁護士、公認会計士、建築士その他の自由職業者の人的役務の提供に対する報酬

(3) 科学技術、経営管理その他の分野に関する専門的知識又は特別の技術を有する者のその知識又は技能を活用して行う人的役務の提供に対する報酬

※なお、海外における技術の動向や製品の販路などの情報等は、使用料の範囲には含まれないものとされています(所得税法基本通達161-22)。

 

今回のご質問のケースでは、上記(3)の人的役務提供に該当するものと考えられるものの、日本国内においてその役務が提供されない限りは、源泉徴収の必要はありません。

ただし、そのコンサルタントが来日して仕事をする場合や、その依頼する仕事の内容によっては、日本において源泉徴収が必要となる場合もありますので、契約内容などを慎重に確認する必要があります。

 

租税条約の取扱い

租税条約では、上記「国内法の取扱い」に掲げるような方のうち、医師や弁護士など一定の者を「自由職業者等」として、その者が日本における拠点(固定的施設=「FB」)を設けて活動しているのでなければ課税しないという原則があります。

また、人的役務提供の報酬についても、基本的には国内法と同様の取扱いとなっており、その役務提供が国内で行われない限りは、源泉徴収の必要はありません。

ただし、インドやパキスタンとの租税条約については、若干取扱いが異なります。

これらの国との租税条約においては、使用料条項において、技術者その他の人員によって提供される役務を含む経営的若しくは技術的性質の役務又はコンサルタントの役務の対価としてのすべての支払金について、日本においても課税することができるものとされています。

そして、その支払者が日本の居住者(法人を含む)である場合には、日本で生じたものとされますので、国内法とは異なり、日本で源泉徴収が必要となるため注意が必要です。

【参考記事】
【国際取引の税務~支払編・事例⑰】インド法人に対して役務提供の対価を支払う場合

 

いずれにせよ、上記のような取扱いは、その締結している国との租税条約によって条件等が異なりますので、念のため各国との租税条約の取扱いを確認する必要があります。

 

源泉徴収の手続き

源泉徴収の手続きについては、こちらの記事を参照下さい。

【参考記事】
【国際取引の税務~支払編④~】源泉徴収の手続き(租税条約届出書、納付、法定調書)
【国際取引の税務~支払編⑥~】租税条約による特例を受けるための手続き

 

参考条文

所得税法161条
所得税法施行令282条
所得税基本通達161-22
各国との租税条約 ほか

 

 

当ブログでは、代表的な事例を基に基本的な考え方をご紹介しておりますので、全てのケースに該当するものではありません。
詳細な検討や解答をご希望の方は、顧問税理士にご相談いただくか、弊社までお問い合わせ下さい。

 

ご注意事項(必ずお読みください)

・本記事は記事執筆当時の制度・税制をもとに執筆されたものであり、現在の法令や実務とは異なる可能性があります。内容の正確性・最新性について保証するものではありません。

・恐れ入りますが、本記事の内容に関する個別のご質問やご相談にはお答えいたしかねます。あらかじめご了承ください。

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(更新予定)
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源泉徴収の要否を判定する(基本的な流れ)
源泉徴収しないとどうなるか
源泉徴収の手続き(租税条約の届出、納付方法、法定調書など)
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