【確定申告の基礎】領収書のギモン①~確定申告に必要な領収書とは?~

  事業に必要な経費を支払ったら、領収書をもらって、帳簿に記載する必要があります。

レシートはあるけど、領収書はもらっていない、というケースもあるかと思います。

そもそも、確定申告に必要な領収書とはどういったものでしょうか?

今回は、確定申告をする際に気になる領収書についてまとめてみました。  

【確定申告の基礎】領収書のギモン①〜確定申告に必要な領収書とは?〜

そもそも領収書は何のためにもらうのか

領収書とは本来、お買い物をしたりサービスを受けた時に、支払を受けたことを売手が証明するものです。

買手にとっては、例えば購入後に返品や交換をする場合、そのお店で確かに購入したことを認めてもらうために領収書を提示します。

また、お金だけ先に支払っておいて、後から商品を受け取る場合にも、「払った」「払っていない」という無用のトラブルを避けるという目的があります。

つまり、領収書とは、支払いに関するトラブルを避けるために、”その支払いの事実を証明するために売手が発行する書類”ということになります。  

 

確定申告に必要とされる要件とは?

実のところ、個人の方に確定申告を義務付けている所得税法という法律では、経費を計上するために領収書が必要であるということは明確に書かれていません。

所得税の法律では、 「取引に関して相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類」 を、一定期間保管しなければならないと規定しているだけです(所得税法施行規則63条)。

つまり、受け取った書類は保管しなければなりませんが、領収書がないと経費にできないということまでは書かれていません。  

ただし、全く根拠書類がないと、誰もが勝手に経費を架空計上したり、金額を水増ししたりできてしまうため、「実際に支払ったこと」「事業に使われたこと」などを証明できるような根拠書類が必要ということになります。

そこで税務上は、上記の通り「支払いの事実」を証明する書類として一般的となっている領収書を、経費として認められる証拠書類として使っているということになります。  

確定申告で使う領収書には、次の事項が記載されていることが望ましいと思います。  

メモ書きは必要か

よく会社員の方だと、接待交際費の領収書に、参加者や人数をメモ書きしなければいけない、というルールがあるかと思います。

これは、会社が使う交際費には一定の税法のルールがあり、一人あたりの金額によって税務上の経費にならないものがあるからです。

個人事業の場合には接待交際費に上限はありませんが、その一方で、事業に関連がある支出かどうかがとても重要になります。

つまり、その接待交際は、業務上本当に必要な支出なのかどうか、ということが問題になります。

従って、個人事業の場合であっても、交際費に限らず、何のために支払ったのかをメモ書きしておくことが必要です。  

 

事業用と家庭用をまとめて買った領収書

できれば事業用の買い物と家庭用の買い物は分けた方が良いですが、どうしても時間がない時などは、まとめて買うこともあるかと思います。

そんなときは、どれが事業用の買い物で、どれが家庭用の買い物かが分かるように、マーカーや赤ペン等区分します。

具体例としては、家庭用の買い物に取り消し線を入れて、事業用の買い物に赤ペンなどで○をつけるのが良いかと思います。

ちなみにこれは、医療費控除を受けるための領収書でも同じです。

ドラッグストアで医薬品と洗剤を一緒に買った場合には、医薬品だけマーカーや赤ペン等で分かるようにしておきます。  

 

領収書もレシートも無い経費はどうしたらよいか

事業のための支払いであっても、領収書やレシートをもらえない取引があります。

そんなときは、次のような方法で支払いを記録しておけば大丈夫です。

 

ご祝儀やお香典

出金伝票やブロックメモ、現金出納帳などに支払った記録をします。

証拠として結婚式の招待状や、お礼状や香典返しなどを保管しておいて、金額をメモしておくと良いと思います。

 

公共交通機関

出金伝票やメモに「行き先」と「目的」「金額」などを記録するか、エクセルの明細を作成します。

交通費はスイカなどの交通系電子マネーに一元化するルールにして、利用記録を定期的に入手する方法もおすすめです。

ただスイカなどを利用する場合には、コンビニなどでも購入できてしまうので、利用記録とレシートをまとめて保管しておいて、買い物についてもきちんと説明できるようにしておくことが必要です。

 

取引先と飲食して割り勘で払った場合

居酒屋などでは、領収書を分けて発行してくれる所もあります。

できれば領収書を発行してもらって下さい。

もし大人数の場合などで難しい場合には、出金伝票やメモに、「いつ」「誰と」「どこで」「いくら」払ったかといった情報を記載しておくようにしましょう。

 

事務所家賃

毎月定額の家賃が口座振替などで自動引き落としされる場合、領収書は発行されないことがほとんどです。

そんな場合には、請求書や契約書などの金額が分かる書類を保管するとともに、引き落とし口座の通帳コピーなどにメモ書きをしておきます。

消費税の納税義務がある場合でも、帳簿に「口座振替のため」などと記載した上で、支払先の住所等を記載すれば良いとされています。

その場合には帳簿の摘要欄に「支払先の名称」や、「○○月家賃」といった事項を入力しておく必要があります。  

(参考)国税庁HP – 質疑応答事例

課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円以上である場合において、請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由がある場合には、帳簿に法定事項に加えて当該やむを得ない理由及び当該課税仕入れの相手方の住所又は所在地を記載することを条件に、仕入税額控除を認めることとされています(法307、令491二)が、照会のような場合には、消費税法基本通達11-6-3(5)《請求書等の交付を受けられなかったことにつきやむを得ない理由があるときの範囲》の「その他、これらに準ずる理由により請求書等の交付を受けられなかった場合」に該当しますので、照会のとおり取り扱って差し支えないものとします。 なお、この場合、帳簿には、やむを得ない理由として「口座振替のため」等と記載することで差し支えありません。 (出典)http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/18/07.htm

 

消費税の申告をする場合は、領収書が必要

消費税の納税義務がある方は、所得税の確定申告よりも要件が厳しくなっているので、注意が必要です(原則課税の場合)。

消費税の申告において経費を認めてもらうためには、次の5項目が記載された書類を保管していなければなりません。

①「書類の作成者の氏名又は名称」
②「年月日」
③「買ったものの内容やサービスの内容」
④「支払った金額」
⑤「支払った人の氏名又は名称」

①~④はレシートに記載されていることも多いですが、⑤の支払った人(レシートを受け取る人)の氏名や名称は、レシートには記載されていないことが多いです。

また、3万円未満である場合や、自販機で買った場合や公共交通機関の乗車券など、領収書等を受け取れないようなやむを得ない事情がある場合には、領収書等を保存しなくても構わないことになっています(ただしその場合でも、帳簿に一定の事項を記載する必要があります)。

消費税の納税義務がない方にとって、厳密に言えばこの記載事項すべてが記載していないと認められないかというと、そういうわけではありません。

ただ、情報量は多ければ多いほど証拠となりますので、ひとつの目安として考えても良いかと思います。  

 

最後に

領収書については、今後も数回にわたってご説明したいと思います。

ご興味のある方は、次の記事もご参照ください。  

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