<STEP3>事業計画はどうやって作ればよいか【起業を考えている方へ】
事業計画といっても、日本政策金融公庫からの借入時に提出する「創業計画書」のような簡素なものから、ベンチャーキャピタルなどから資金調達する際の冊子のように壮大なスライドまで、特に決まった形式があるわけではありません。
事業計画書を作るのに時間を掛け過ぎても仕方がないですが、できるだけ具体的にイメージすることで、失敗するリスクを減らすことにつながります。
今回は、事業計画の中でも最も簡単な「創業計画書」をサンプルとして、一般的に検討すべき内容を凝縮してご紹介します。
【起業を考えている方へ】<STEP 3>事業計画を作る
<STEP 3>事業計画を作る
事業計画書を作成するためには、前回ご紹介した<STEP 2>で考えたイメージを、具体的な計画に落とし込んでいきます。
どんなに素晴らしいイメージができ上がっていても、今の段階ではまだ絵に描いた餅ですから、これを実現可能な計画になるよう数値で検討します。
事業計画書を作ることは必須ではありませんが、メリットは大きいです。
・具体的に何をすれば良いかが明確になる
・ビジネスの全体像をつかむことができる
・どこにリスクがあるのか把握しやすくなる
・実現可能性が高まる
今回ご紹介する検討ポイントを足掛かりに、ご自身の起業プランを肉付けしてみて下さい。
創業計画書のサンプル
https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_171010b.pdf
こちらは、日本政策金融公庫に融資を申し込む際に提出する「創業計画書」のフォーマットです。
意外と簡単だと思われた方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、このフォーマットだけではビジネスの概要や将来像を説明しきれませんので、口頭での説明をしたり、別途詳細な資料を作成して説明することもあります。
ただ、何の根拠も用意せずに、いきなりこの用紙に書き始めることはほぼ不可能です。
最低限、今回ご紹介するようなポイントを検討した上で、その内容を要約して計画書を作っていくことになります。
事業計画を立てる際の検討ポイント
<STEP 2>において、「どんな商品・サービスを」「誰に」「どうやって」売っていくのかのイメージが出来上がっているかと思います。
考えるポイントは前回と同じですが、これを、次のようなポイントで具体化していきます。
理念やコンセプト
ビジネスを行う動機
「どうしてこのビジネスを始めようと思ったのか」「ビジネスを通じて実現したいこと」を文章にします。
お金を儲けたいから、という理由は根底にあるでしょうが、そのお金を儲けるための方法論やビジネスを始める動機があるはずです。
さらに、そのビジネスを続けることで将来どうしたいのかという「ビジョン」も一緒に明確にします。
成功させるための見通しや強み
例えばカフェを始めるときに、ただ単にコーヒーが好きだから、という理由で始める方もいらっしゃるかと思います。
それでも、実際にビジネスを始めるに当っては、「他のお店よりも美味しい」ですとか、「ちょっと変わった内装の店舗」だったり、何かしらライバル店との差異化ができないと、なかなか成功に結びつけるのは難しいと思われます。
「これまでの経験」や「自身の強み」を活かすのか、それとも「今までにないビジネスモデル」でライバルに差を付けるのか、など自分がそのビジネスを成功させられると信じる根拠を明確にします。
ライバル・市場の分析
自分が勝負しようとしている分野・エリアについてのリサーチ・分析を行います。
どれだけの競合他社がいて、市場規模(見込客)はどれくらいで、そのうち自分がターゲットとする客層の何割が顧客になり得るのかを検討します。
正確なデータがなくても、ざっくりとした仮定でも良いので考えてみることが大切です。
ビジネスの流れ
事業運営に必要なことを、具体的に考えていきます。
どれだけ具体的にシミュレーションできるかがポイントで、次の数値計画にも影響しますので、できるだけ具体的にイメージするよう心掛けます。
提供する商品またはサービス
商品・サービスのラインナップを決めます。
STEP 2で考えた、商品やサービスの特徴や強み、他社との違いなどを具体的にします。
価格についても、まずは一旦仮決めしておきます。
取り扱う商品やサービスはどうやって用意するのか
商品であればどこから仕入れるのか、サービスであればどんな準備が必要か、それらを顧客に提供する際には何が必要かを具体的に考えます。
商品販売であれば、仕入れから販売方法、商品の包装、レジ入金までの細かいフローをイメージし、それぞれのタイミングで必要なものを洗い出します。
サービスであれば、サービス説明・見積・受注から業務提供・請求までのフローを作っておきます。
商品やサービスを具体的にどうやって売っていくのか
いわゆる販売戦略です。
どのようにお客様を獲得し、どこで販売・サービス提供を行うかを考えます。
商品販売であれば、どこに店舗を設けるのか、ネット販売なら楽天か自社HPかといった、具体的なエリアや物件などの目処を考えます。
これらが決まれば、次にどのように宣伝するのかを考えることになります。
サービスの場合も同様に、オフィスを設けるのか、SOHOなのか、Web上でやり取りをするのか、どのように仕事を受注するのかといった戦略を立てます。
事業を行うための運営方法はどうするか
商品にせよサービスにせよ、内部の運営がきちんとしていないと成功しません。
家族だけで運営するのか、スタッフを雇う必要があるのか、設備や備品はどのようなものが必要なのか、などビジネスを動かすために必要な土台について考えつく限りのことを書き出します。
また、契約書や納品書・領収書などはどのように作成・管理していくか、顧客データの管理、お金の管理や経理などはどうするか、といった内部体制作りも考えておきます。
数値的なこと
上記のポイントで、経営や事業運営のために必要なことを考えたら、次にそれを数値計画に落とし込みます。
数値計画を作るときに気を付けたいのが、外部の目を意識して、できるだけ客観的に、現実的な眼で考えることです。
「これくらい売れたらいいな」という楽観的な希望だけでなく、最悪のケースも考えておく必要があります。
売上計画
1年間でどれだけの売上を目標とするか、そのためには1ヶ月または1日当たりどれくらいの売上が必要かを考えます。
また、オープン当初は売上も少ないでしょうから、低めに予想を立てておきます。
さらに、軌道に乗るまでにどれくらい掛かるかを、ざっくりで良いので考えておく必要があります。
例えば、広告を出したりクーポンサイトに掲載して認知度が上がるのに最低○ヶ月は必要ですとか、最初の数ヶ月はひたすら営業を行い、○ヶ月後から徐々に顧客が増えていく、などのイメージを作ることになります。
原価計画
売上を上げるための原価やコストはどれくらい掛かるのか、標準的なコストを想定します。
この場合、固定費は一旦考えなくても結構です。
まずは、売上に連動して増減するコストについて、1単位当たりの原価を計算します。
商品販売やメーカーであれば、スケールメリットも見込めます。 どのレベルを超えたら単価が安くなるのかを見極めます。
経費計画
事業を行うために必要な固定費(オフィス賃借料や備品、人件費、水道光熱費など)はどれくらい掛かるかを計算します。
売上の大小にかかわらず発生するものですから、まずはこの固定費を回収できるくらいの利益(売上から原価を引いた儲け)を上げることを最優先に考えます。
利益計画
上記3つの計画(売上計画、原価計画、経費計画)を元に、利益計画を立てます。
つまり、「いくら儲かるのか?」ということを計算します。
計算してみたら、計画上は儲けがほとんど出ないようなら、儲けが出るような手法を考えるために再度上記の検討ポイントを考え直します。
これを繰り返すことで、数値に実現可能性を持たせることになります。
開業準備資金
開業資金はどれくらい必要かを検討します。
開業時には想定以上に多額の資金が必要になります。
蓋を開けたら足りなかったということがないよう、思いつく限り事前に想定しておく必要があります。
開業資金に加えて、数ヶ月〜2年程度の運転資金と生活費を考慮しても資金が不足する場合には、外部から借入をすることになります。
こちらは次のステップ(次回)で、もう少しご説明します。
最後に
最初は、ラフなものからでも結構です。
ただ、金融機関からお金を借りたり、補助金を申請しようとする場合には、しっかりした事業計画を作る必要があります。
その場合は、税理士やコンサルタントなどの専門家に相談しながら進めましょう。
【起業を考えている方へ】開業するまでの流れを解説します
【起業を考えている方へ】<STEP1>「個人」か「法人」か
【起業を考えている方へ】<STEP2>ビジネスプランを考える
【起業を考えている方へ】<STEP3>事業計画を作る ←今回の記事です
【起業を考えている方へ】<STEP4>開業資金を検討する
【起業を考えている方へ】<STEP5>開業に必要なものを準備する
【起業を考えている方へ】<STEP6>開業手続きをする
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