<STEP4>開業資金はいくら必要か【起業を考えている方へ】

【起業を考えている方へ】<STEP4>開業資金を検討する

 

起業には、少なくない金額の資金が必要となります。
全てを自己資金でまかなえれば言うことはないですが、通常は足りない分を調達しなければなりません。

起業するにあたって、どれくらいの資金が必要になるのか、今回は開業資金について考えてみました。

 

<STEP 4>開業資金を検討する

開業前に考えておくべき「資金」のこと

事業計画を立てたら、次に考えるのが資金の問題です。

 

自分で用意できる金額を把握するとともに、どれくらいの資金が必要なのかを計算し、足りないようであれば借入を検討します。
ここでは、「どれくらいの資金が必要なのか」を把握するために、何を考えれば良いのかをご説明します。

具体的には、次のそれぞれの資金について事前に見積っておくことが必要です。

 

起業に必要な3つの資金

開業準備資金

まず最初に必要となるのが、「開業準備資金」になります。
店舗やオフィスを借りたり、内外装の工事をしたり、備品を購入したり・・・と初期投資には多額の資金が必要になります。

一般的に必要となる開業資金には、次のようなものがあります。

・店舗やオフィスの契約金(保証金、礼金、仲介手数料、前払家賃等)
・内外装費用(水回り工事があると高くなります)
・什器備品(棚やカウンターなど)
・レジや金庫
・店舗内家具
・オフィス家具
・パソコン、プリンタ、電話など
・ホームページ制作費
・パンフレットやチラシ、名刺などの制作費

さらに、会社の設立登記の費用や、事業によっては許認可の手続が必要になりますし、開業時に一定額以上の資本金(自己資金)が必要となる業種もあります。

自分のビジネスを始めるに当たっては、最初にどのような資金が必要になるのか、きちんと調べておきましょう。

 

運転資金

開業資金の計算ができたら、次に「運転資金」を考えます。

運転資金とは、開業した後で、ビジネスを継続させるために必要となるお金のことです。
一般的には、事務所家賃や水道光熱費などの「固定費」と、商品などの仕入れや原材料などの原価である「変動費」に分けられます。

「固定費」は、読んで字のごとく毎月”固定的に”出ていく費用のことを言います。

一方、商品や原材料の仕入れは売上量に応じて変わってきますし、下請けに出すような仕事であれば、仕事の量に応じて外注費が変わります。
このように、売上などに応じて”変動する”費用のことを「変動費」と言います。

自分のビジネスをイメージしてみて、どのような費用が必要になるのかを書き出してみてください。
また、変動費を計算するためには、売上の予測も必要になります。
1日または1ヶ月当たりの売上についても想定することになります。

開業当初は、売上がほぼゼロの期間が続くかもしれません。
それでも、家賃や水道光熱費などの固定費は出ていってしまいますし、人を雇っていれば人件費も払わなければなりません。

最低でも半年間、できれば1年~2年分の固定費を賄えるだけの資金があると安心です。
その上で、まずは固定費以上の粗利(あらり。売上から変動費を引いたもの)が出せるような売上を目指します。

 

ちなみに、運転資金として毎月必要となるような経費には、次のようなものが想定されます。
(もちろん業種や個々の状況によって異なりますので、必要に応じて追加・削除してください)

【変動費】
・商品仕入れ
・原材料仕入れ
・包装資材費
・外注費やアルバイト代

【固定費】
・人件費(正社員など)
・家賃
・水道光熱費
・電話代
・インターネット通信費
・交通費
・広告宣伝費
・コピー用紙代

 

生活費

運転資金は、事業を行うために毎月必要となる資金ですが、忘れてはいけないのが、自分自身の「生活費」です。

ある程度軌道に乗って、固定費をまかなえるだけの売上が立ったとしても、すぐに利益が出るとは限りません。
経営者の方の生活費は、基本的には利益から取っていくことになります。
利益が出るまでは、貯金を切り崩して生活していくことになるかもしれません。

固定費と同様に、最低でも半年分、できれば1年~2年分の生活費を賄えるだけの資金を開業前に準備しておくことをお勧めします。

 

自己資金が足りないときは

上記「開業資金」「運転資金」「生活費」をできれば自己資金(貯金など)で用意できると良いのですが、特に大掛かりな内外装が必要な場合など、どうしても資金が足りなくなってしまいます。
もし貯金だけでは足りないようであれば、どこからか借入をすることを考えないといけません。

借入先として真っ先に思いつくのが、親族や親戚から借りるケースです。
親族から借りれなければ知人から借りても良いですが、一般的にトラブルになる場合が多いので、お勧めしません。

 

そこで、起業にあたって多くの方が利用するのが、日本政策金融公庫の「新創業融資」と、自治体が行っている「制度融資」になります。

 

金融機関からの融資

外部から借りるのであれば、金融機関や自治体の融資制度を利用することになります。
金利や保証料などのコストは掛かりますが、親族や友人から借りるよりもトラブルは少ないのでお勧めします。

一般的なのが、「市区町村などの自治体」「日本政策金融公庫(以前の「国金」)」「地銀や信金などの金融機関」です。
通常新規の起業の場合は信用力がないため、金融機関から融資を受けるのはハードルがとても高くなります。
従って、前者の2つ(「国や自治体による融資制度」と「日本政策金融公庫の融資」)を利用することになります。

それぞれの融資プランによって、保証人が不要な場合や、金利が優遇されるものがあるなど、融資の条件や対象、審査基準などが異なります。

現時点(平成29年2月現在)で一般的な融資制度には、次のようなものがあります。

 

 

助成金や補助金を活用する

また、手続きが大変にはなりますが、国の補助金や助成金を受けることも検討すべきだと思います。
助成金や補助金は、融資とは違い、原則的には返済不要です。

助成金は要件が合えば受給できる可能性が高いもので、主に新規雇用促進などを目的とした制度が多いです。
一方の補助金は、毎年の予算で採択される上限が決まっていることが多く、申請期間が短いのが特徴です。審査も厳しいですが、創業時に受けられる補助金などもあるので、タイミングが合えばチャレンジしたい制度です。

申請すれば必ず受給できるものではありませんが、基本的には返済不要ですので、受給できれば資金がとても楽になります。

金融機関などからの借入や、補助金・助成金の申請を検討するのであれば、自分ひとりでやるのは無理がありますので、専門家に依頼されることをお勧めします。

 

出資を募る

最近では、クラウドファンディングによる起業が増えてきました。
詐欺まがいの事件もありましたが、新しい資金調達方法として注目されています。

突出した技術力や開発力で、魅力のあるビジネスであれば、ベンチャーキャピタルなどにプレゼンして出資を募るという方法を視野に入れても良いかもしれません。

その場合は、前回の<STEP 3>で説明したような「事業計画書」よりもしっかりした計画・プレゼンが必要になりますので、専門家の助けが必要です。

 

最後に

起業を成功させるために最も必要なのは、起業される方の夢や熱意ですが、資金が用意できないと成功はあり得ません。

まずは自分がどれくらいの資金が必要なのかを事前に把握することが大切です。

 

【起業を考えている方へ】開業するまでの流れを解説します
【起業を考えている方へ】<STEP1>「個人」か「法人」か
【起業を考えている方へ】<STEP2>ビジネスプランを考える
【起業を考えている方へ】<STEP3>事業計画を作る
【起業を考えている方へ】<STEP4>開業資金を検討する ←今回の記事です
【起業を考えている方へ】<STEP5>開業に必要なものを準備する
【起業を考えている方へ】<STEP6>開業手続きをする

 

 

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