【確定申告スタートダッシュ③-3】経費はどこまで落とせるのか?(必要経費の具体例)
みなさん、こんにちは。 東京都杉並区・西荻窪の税理士、下島です。
今回も引き続き、個人事業主やフリーランスの方が確定申告をされる際に気になるであろう、「経費はどこまで落とせるのか?」という疑問について解説します。 →前回の記事はこちら
今回は、個人事業主の方が悩みやすい必要経費の具体例をいくつか挙げてご説明します。
【確定申告スタートダッシュ③-3】経費はどこまで落とせるのか?(必要経費の具体例)
食事代
個人で事業をされている方から最も多く質問されるのが、食事代です。
基本的には、朝昼晩の食事は仕事に関係なく必要なことですので、営業回りの途中に入ったレストランでの食事代や、仕事が終わってからの夕食代・居酒屋などの支払いは経費になりません。
ただし、取引先とのミーティングを兼ねたランチや、お客様とのディナー、接待や懇親を目的とした飲み会などであれば、それが事業のために必要であることを前提として、会議費や交際費として認められると思います。
その場合は、領収書や帳簿だけでは判断ができませんので、「誰と」「何のために」行ったのかといった内容をメモしておく必要があります。
また、例えば飲食業を営んでいる方やライターの方であれば、他店の調査や取材のために食事することもあるかと思いますので、そのような場合であれば「調査費」や「取材費」として計上することもできるかと思います。
こちらも、後で税務調査官に説明できるように、例えば簡単なレポートを作成するとか、少なくともきちんとメモを残しておくことが必要です。
喫茶店・コーヒー代
こちらも悩まれる方が多いのですが、仕事をするために喫茶店に入った場合に、そこで注文したドリンク代は経費になるかどうか、というご質問です。
確かに悩ましいところですが、例えば、仕事をするためにそのスペースやWi-Fiを使いたいようなときは、ワンドリンクを買わないと使えない訳ですから、ワーキングスペースとして使用するということであれば認められる余地はあるのではないでしょうか。
自宅では仕事ができないような方が、定額制やチケット制のレンタルオフィスを借りるのは高いという理由から、その代わりとしてカフェを利用するケースはとても多いと思います。
業務上必要であることを、どの程度説明できるかにも依ると思いますが、ある程度は認められるのではないかと思います。
また、外出先でちょっと仕事をするためにカフェに入って注文したコーヒー代も、それが業務をするために必要ということであれば、経費に落としても良いと思います。
つまり、どうしても外回りの途中に仕事をしなければならなかったり、外出先で数時間の空き時間ができて仕事をしたいときなどは、業務上も必要性があると認められるかと思います。
交通費
取引先に出向くための交通費や、営業回りに使ったタクシー代なども、もちろん経費にすることができます。
交通費は領収書が出ないため、経費として計上するのを忘れてしまいがちです。
電車やバスを使う方は、多くの方がスイカやパスモなどの電子マネーで支払うと思いますが、駅の券売機で明細を取得することができます。
また最近では、ICカードリーダーで使用履歴を読み取ることができたり、Felica対応のスマホアプリで読み取ることが可能になっています。
移動が多い方は交通費も多額になりますので、忘れずに経費に入れるようにしましょう。
自宅兼事務所の家賃
こちらも、フリーランスやSOHOで働いている方からは大変多いご質問です。
賃貸のマンションやアパートに住んでいて、自宅でお仕事をすることが多いのであれば、家賃も経費にすることは可能かと思います。
ただし、日々の生活としても使用している訳ですから、全額を経費にすることはできません。
かと言って、どれくらいを経費にできるのかについては、明確な基準がある訳ではありません。
一例を挙げれば、仕事部屋とそれ以外の部屋が分かれているのであれば、例えば面積按分などをするのが妥当かと思います。
もしワンルームや1Kなどの部屋であっても、1日の仕事時間に応じて按分することも、場合によっては認められる余地があるかもしれません。
所得税の法律では、 「家事関連費のうち、業務の遂行条必要である部分を明らかに区分することができる場合には、その必要である部分に相当する金額を必要経費にできる」 (所得税法施行令96条、所得税法基本通達45-1、同45-2) とされているだけです。
おそらく想定されているのは、時間や数量、回数など目に見えて按分できるような指標を使って按分したのであれば、それは”明らかに”区分することができるという意味なんだろうと思います。
必ずしもそれ以外はダメということではないと思いますが、具体的にどれくらいなら認められるかの判断は自己責任となりますので、誰に対しても自信をもって説明できるような按分方法を決める必要があります。
水道光熱費や電話代など
水道光熱費も、家賃と同様に按分して経費に入れることはできると思います。
電話代も同様です。 ただし、こちらも上記の自宅兼事務所の家賃と同様に、使用割合などの按分計算が必要になります。
経費に入れられる項目や、按分計算のやり方については、個々の事情によって異なります。
具体的なやり方については、ご契約されている税理士さんにご相談ください。
領収書がないもの
結婚式のご祝儀や、お葬式の香典などは、領収書が出ません。
しかし、取引先のお子さんが結婚されたり、お仕事上のお付き合いのある方が亡くなったりして、ご祝儀や香典を出すことは多いかと思います。
先ほど出てきた交通費も、基本は領収書などはありませんが、これと同様に、ご祝儀や香典なども、それが事業に関連して支出したものであれば、経費にすることができます。
金額と日付を現金出納帳や出金伝票などにメモしておいて、結婚式の案内状や会葬御礼状などを保管しておくと良いでしょう。
こちらの記事も参照ください。
https://shi-tax.com/52_kakutei8-1/
個人のクレジットカードで支払ったもの
当事務所では、個人事業をされている方には、生活費の口座とカードとは別に、事業用の銀行口座とクレジットカードを用意していただくことをお勧めしています。
その理由は、
・事業用のお金と生活費のお金をはっきり区別する
・税務調査で個人的なお金の出入りを見られないようにする
・経費の計上漏れを防ぎ、出金取引を整理できる
それでも、たまには個人のクレジットカードで事業用の買い物をしてしまうこともあるかと思います。
そのような場合でも、領収書など支払いを証明できるものがあれば、経費として計上することができます。
その場合の仕訳は、次のように「事業主借(または事業主貸)」という科目を使います。
(借方)○○費 xxx円 / (貸方)事業主借 xxx円
最後に
今回は、確定申告における必要経費の基本ルールについて、簡単に概要だけお話してみました。
次回以降、さらに個人事業の「経費はどこまで落とせるのか?」という疑問について解説していきます。
次回以降も、確定申告に役立つような記事をアップしていきます。
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