国際税務

【国際取引の税務~支払編・事例②~】海外にロイヤルティを支払う場合

【国際取引の税務~支払編・事例②~】海外にロイヤルティを支払う場合

海外の会社や個人に対して、特許権や商標権などのライセンス料(ロイヤルティ)を支払う場合には、日本で源泉徴収が必要となります。

今回は、海外に対してロイヤルティを支払う場合についてご説明します。

【支払編・事例②】海外にロイヤルティを支払う場合

 

【質問】ロゴマークの使用に関するライセンス料の支払いで源泉徴収は必要か?

当社はファッション製品の輸入及び製造販売を行っていますが、この度海外よりバッグや雑貨を仕入れるに当たって、包装材やシールなどにブランドのロゴマークを使用するために、いわゆるライセンス料を支払うことになりました。

ライセンス料の支払方法は、契約開始時に一定額と、その後売上金額に応じて1年ごとにライセンス料を計算して支払うことになっています。

なお、その支払先の外国法人は、日本に拠点等を有しておらず、日本では何らビジネスを行なっていません。

このようなライセンス料の支払いについて、源泉徴収は必要でしょうか?

 

ご質問への回答

非居住者(海外の会社や個人など)に対して、著作権や特許権、商標権などのロイヤルティ(ライセンス料)を支払う場合には、所得税法における「使用料」に該当し、その支払の際に、支払う金額の20.42%を源泉徴収しなければなりません。

ご質問のケースでは、ロゴマークという商標を使用する対価としてライセンス料を支払うものですので、「使用料」として源泉徴収が必要になるものと考えられます。

ただし、その支払先の国との間に租税条約を締結している場合には、租税条約に基づいて税率の減免(軽減又は免除)を受けられる可能性があります。

また、そのライセンス料の支払いについては、関税や輸入消費税の計算にも影響する可能性がありますので、注意が必要です。

 

解説

「使用料」に関する国内法の取扱い

非居住者等(海外の会社や個人など)に対して、以下に掲げるような特許権や著作権の使用料といった支払いをする場合には、その権利をその支払者が日本国内の業務に使用するものについて、20.42%の源泉徴収が必要とされています。

このような支払いを、「使用料」と言います。

(1)工業所有権等その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるものの使用料又は譲渡による対価

(2)著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の使用料又はその譲渡による対価

(3)機械、装置、車両、運搬具、工具、器具及び備品の使用料

 

ご質問のように、ロゴマークの使用に関して支払うライセンス料は、上記(1)の工業所有権等に含まれるものと解されますので、「使用料」に該当するものと考えられます。

また、契約開始時に支払ういわゆる「頭金(イニシャルペイメント)」に相当するもの、売上金額に応じて支払う「ランニングロイヤルティ」、いずれについても「使用料」として取り扱われることになります。

従って、その支払の際に、支払金額の20.42%を源泉徴収して、税務署に納付する必要があります。

 

「使用料」に関する租税条約の取扱い

ただし、その支払先の国との間に租税条約が締結されている場合には、その支払先の会社や個人が租税条約の適用を受けられる対象者(税法用語である「居住者」に該当する者)である限りにおいて、源泉徴収税率の減免(軽減又は免除)を受けられる可能性もあります。

もし租税条約に基づく減免措置を受けることができる場合には、租税条約届出書などの所定の手続きを行う必要があります。

 

なお、その特許権などの権利を国外で使用する場合(例えば、特許権を用いて海外で製造・販売する場合など)には、国内法では源泉徴収の対象になりませんが、租税条約の定めにより源泉徴収が必要となるケースもあります。

使用料(ライセンス料など)については、租税条約と国内法で取扱いが異なるため、その支払いの内容や使用状況等を詳しく確認した上で、慎重に検討を行う必要があります。

 

源泉徴収の手続き

源泉徴収の手続きについては、こちらの記事を参照下さい。

【参考記事】
【国際取引の税務~支払編④~】源泉徴収の手続き(租税条約届出書、納付、法定調書)

 

租税条約の適用を受けることができる場合には、こちらの記事も参照ください。

【参考記事】
【国際取引の税務~支払編⑥~】租税条約による特例を受けるための手続き

 

関税・輸入消費税

通常、商品や製品を海外から輸入する際には、関税や輸入消費税が掛かることになります。

輸入取引において関税や消費税の課税の対象となるのは、保税地域から引き取る課税貨物に限られています。

従って、商標権のロイヤルティや技術導入に伴って支払われるライセンス料などは、原則的には輸入取引としての課税対象とはなりません

ただし、そのロイヤルティが輸入した商品に係るもので、かつ、その輸入した商品に係る取引の状況その他の事情からみてその輸入取引をするために支払われるものと認められる場合には、そのロイヤルティの金額を関税の課税価格の計算にあたって考慮しなければならないケースがあります。

この場合には、関税事後調査において関税の課税価格について指摘を受ける可能性がありますので、注意が必要です。

 

参考条文

所得税法161条七号、同162条
所得税法施行令284条
所得税基本通達161-21
関税定率法4条1項四号
関税定率法施行令1条の5第5項 ほか

【税関HP】質疑応答事例

 

 

当ブログでは、代表的な事例を基に基本的な考え方をご紹介しておりますので、全てのケースに該当するものではありません。
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