会社の決算と申告

【会社決算のポイント⑨】消費税や法人税の期末処理

【会社決算のポイント⑨】消費税や法人税の期末処理

決算処理がひと通り完了したら、法人税や住民税の計算を行い、期末に納付すべき税額を確定させます。

そして、その算出された税額を、決算書に織り込むための仕訳を計上することになります。

今回は、法人税や消費税の、期末の会計処理と考え方について簡単にご説明します。

 

基本的に、会社の決算や税務申告については、ご自身で全てを行うのではなく、少なくとも税務申告については税理士にお任せいただくことが一般的です。

このシリーズでは、会社の決算や記帳についてはご自身で帳簿付けをされおり、決算や税務申告を税理士に依頼している方を対象としていますが、税理士に記帳まで全てお願いしている方であっても、決算にあたって税理士と相談する際に必要な知識となりますので、ぜひご一読ください。

個人事業者で青色申告をされている方も基本的には同様ですので、個人の方もぜひ参考にしてください。

【会社決算のポイント⑨】消費税や法人税の期末処理

会社が支払う税金

会社は毎年1回決算をして税金を支払いますが、この決算に伴って計算する税金は、次のようなものがあります。

これらの税金については、決算を締めて税額を計算し、その算出した税額を決算仕訳として計上します。

会社決算時の税金

 

なお、会社が支払う税金のうち、決算以外のタイミングで手続きを行うものとしては、次のようなものがあります。

これらの税金については、基本的には支出時に仕訳を計上します。

 

会計上の「利益」と税額計算の関係

法人税が掛かる「利益」とは

税金に関する期末処理のお話をする前に、会計と税金計算の関係について、少しだけお話しておきたいと思います。

 

法人税や住民税は「会社の利益(儲け)に掛かる税金」であるとご説明しましたが、ここで言う「会社の利益(儲け)」は、決算書上の利益と同じではありません。

ここが、初めて会社の税金に触れられた方が大変混乱する部分で、もしかすると一番最初にぶつかる壁かもしれません。

 

まず、法人税などを計算するときの利益(儲け)を、「所得」と言います。

この用語は今後も出てきますので、ぜひ覚えておいて下さい。

Point1:法人税は「所得」に対して掛かる税金である

 

そして、会計上(決算書上)の「利益」と、法人税などを計算するときの「所得」は同じではありません

それでは、どうして会計と税金の計算で、利益が異なるのでしょうか?

 

会計と法人税では、計算の目的が違う

会計上の利益と、税金計算上の所得が一致しない理由は、簡単に言ってしまえば、その計算目的が異なるからです。

 

会計の目的は、社内で毎年の業績を分析したり、株主や投資家が同業他社と比較分析したりと、その経営成績や財務内容を利害関係者に報告することにあります。

一方で、税金計算の目的は、納税者に公平に税金を課すことです。

 

どちらもルールがあるという点では同じですが、その目的が微妙に異なるため、計算方法についても違いが生じています。

Point2:決算書の「利益」と、法人税を計算する「所得」は異なる

 

下図のように、大まかな仕組みは同じですが、収益や費用の範囲が、会計と法人税では異なっていますので、その結果として算出される結果(「利益」または「所得」)も異なることになります。

 

なお、上図にもあるように、法人税の計算をする上での用語として、収益は「益金」、費用や損失は「損金」と言いますので、こちらも覚えておくと税理士との相談がスムーズになります。

Point3 :法人税の世界では、収益は「益金」、費用や損失は「損金」と言う

 

法人税の計算方法

会計上の利益と、税金計算上の所得が一致しないと言っても、法人税の計算をするために、全く一から計算しなければならないという訳ではありません。

基本的には、会計上の利益をスタート地点として、そこに様々な調整を加えることで、法人税の計算をするための「所得」を算出するような仕組みになっています。

先ほどの図で言えば、決算上の「利益」に、①~④の黄色で塗りつぶされた部分を加減算することで、法人税の「所得」を計算します。

 

法人税における所得計算を簡単な図にすると、次の通りです。

 

このように、会計と税金計算の違いを調整することを、「税務調整」と言います。

法人税の計算に当たっては各種の税務調整が必要とされており、会計ソフトに入力して帳簿を作成するだけでは正しい税金計算はできません。

すべての調整項目を理解するのは大変難しいと思いますが、顧問税理士とお話をするに当たっては、まずは上記の基本的な仕組みを頭に入れておいて頂けると良いかと思います。
(代表的な税務調整の内容については、今後のブログでもご紹介していく予定です。記事下のリンクを参照下さい。)

 

ちなみに、住民税や事業税についても、大まかに言えば法人税の計算で使う「所得」を用いて税額計算を行います。

 

未払法人税等の計上

期末の未払税金を計上する

この記事は、税理士や会計事務所に決算や申告を依頼している会社を前提としていますので、会計事務所が決算を行い、税金を計算してくれるかと思います。

 

例えば、当期は利益が1,000円で、それに対する税金(法人税、住民税、事業税)が400円だったとします。

中間納付(事業年度開始後6ヶ月後に、前期納税額の半分を納める制度)がなければ、期末の未払税金は400円です。

法人税や住民税は、利益(儲け)に対して課される税金ですので、その利益が生じた年度の決算に織り込む必要があります。

 

これを決算書(損益計算書)に表示すると、次のようになります。

 

法人税の計算はどうなっているか

ここで、法人税の計算がどうなっているのかを簡単に見ておきたいと思います。

先ほど、会計と税金計算の違いを調整するために、「税務調整」を行うということをご説明しました。

「税務調整」には様々なものがあるのですが、代表的な「税務調整」のひとつが、利益に対して納める法人税や住民税などの税金の調整です。

税金を支払った場合には、その支払いは会計上の費用として計上しますが、法人税の計算においては、損金になるものと、損金にならないものがあります。

※「損金」とは、法人税の計算をする上で”費用”になるものと考えて頂ければ結構です。

【参考記事】
【法人税の申告調整⑤】税金の調整(費用になるもの、ならないもの)

 

そして、法人税や住民税は、「会計上は費用として計上するが、法人税の計算では損金にならないもの」(損金不算入)に該当しますので、税務調整が必要となります。

 

仮に、これ以外に税務調整すべき項目がなければ、税引前当期純利益(法人税などを費用に計上する前の「会計上の利益」)に対して、法人税や住民税が課されるということになります。

 

※厳密に言えば、事業税は原則として申告書を提出した事業年度の損金になりますが、期末時点では申告書を提出していないため、「未確定債務」として当期の税額計算においては損金の額に算入されません。

【参考記事】
【会社決算のポイント②】未払費用を計上する

 

消費税の期末処理

消費税の納税義務がある会社については、多くが「税抜経理」の方法により処理しているかと思います。

消費税の仕組みや処理に関する詳しい説明は今回は差し控えますが、「税抜経理」を行っている会社が期末時点で行う仕訳は、以下の通りとなります。

 

 

さいごに

法人税の計算は、やはり専門的に勉強した方でないと、なかなか理解するのが難しいかもしれません。

正確な計算や処理については税理士・会計事務所に依頼して頂ければ結構ですが、どうして会計と税金計算に違いが出るのか、その基本的な考え方だけでもご理解頂いておくと良いかと思います。

 

弊社では、決算や申告が初めての方に向けて、不定期のセミナーも開催しております。

開催は不定期ですが、お客様のご都合に合わせて個別セミナーもお引き受けしております。

「税金計算の基本的な部分だけでも教えて欲しい」「具体的な論点について、詳しい説明をして欲しい」という方がいらっしゃいましたら、ぜひご相談ください。

 

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【はじめての決算】
①そもそも「決算」とは?
②決算整理とは?
③税務申告で作成する書類は?
④申告しないとどうなるか?

<その他、会社決算に関する記事>

【会社決算のポイント】
【会社決算のポイント①】発生主義とは?
【会社決算のポイント②】未払費用を計上する
【会社決算のポイント③】短期前払費用を経費に入れる
【会社決算のポイント④】残高を合わせる
【会社決算のポイント⑤】減価償却費を計算する
【会社決算のポイント⑥】少額減価償却資産の処理方法
【会社決算のポイント⑦】固定資産か修繕費か
【会社決算のポイント⑧】棚卸しをして在庫を計上する
【会社決算のポイント⑨】消費税や法人税の期末処理
【会社決算のポイント⑩】その他の決算処理

【法人の決算に向けて】
【法人の決算に向けて①】領収書がない費用を計上しなかった場合
【法人の決算に向けて②】役員に対する貸付金がある場合
【法人の決算に向けて③】自宅を法人の事務所として使用している場合
【法人の決算に向けて④】個人事業で使っていた資産を引き継ぐ
【法人の決算に向けて⑤】法人設立前の費用を忘れずに計上する
【法人の決算に向けて⑥】開業費を経費に算入する
【法人の決算に向けて⑦】法人設立前の売上については、個人で確定申告が必要

【法人税の申告調整】
【法人税の申告調整①】役員報酬を期中に減額した
【法人税の申告調整②】期末に役員賞与や親族への賞与を未払計上した
【法人税の申告調整③】交際費の計算(区分)
【法人税の申告調整④】貸倒損失
【法人税の申告調整⑤】税金の調整(費用になるもの、ならないもの)

 

決算や申告がはじめての法人のお客様へ

このシリーズでは、簿記や経理をある程度理解している方を前提として、決算整理の際に注意すべき点をご説明していきます。

基本的には、帳簿だけをご自身で作成して、決算書や税務申告書の作成を税理士(会計事務所)に依頼しているような方を対象としてご説明します。

「どうせ赤字だから、決算や申告が少しくらい間違っていても大丈夫だろう」
「うちは規模が小さいから、税理士や会計事務所に頼むまでもない」
「会計ソフトを使えば自分でも作れそうだから、わざわざ高い報酬を払ってまで税理士に依頼するのがばかばかしい」

・・・実際にこういったお話をお聞きすることも多いです。

しかし、間違いが多い決算申告では銀行にも税務署にも信用されませんし、経営判断や節税対策には全く使えません。
また、個人事業の確定申告と比べると、法人の決算や申告は格段に難易度が高くなりますので、ご自身で正しい決算申告をすることは非常に難しいと思います。

私どもの事務所では、お客様の方で会計ソフトへの入力が済んでおり、決算や税務申告だけを頼みたいというご依頼もお引き受けしております。

もちろん、会計ソフトへの入力まで丸投げしたいというお客様や、日々の節税相談をご希望のお客様、更には過去数年分の申告をまとめて依頼したいという法人の方も、ぜひ一度ご相談ください。

 

 

 

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