税務調査第1回:税務署から『調査したい』と連絡が来たら最初にやるべきこと

※本記事は、税理士がいない方や、現在の税理士との関係に不安を感じている方向けに、税務調査への対応ポイントを分かりやすくお伝えするシリーズの第1回です。
はじめに|突然の「税務調査」の連絡、あなたならどうしますか?
ある日、会社に1本の電話がかかってきます。
「○○税務署の△△と申します。税務調査を実施させていただきたく…」
それは、税務署からの「税務調査」の連絡です。
帳簿や申告にやましいことはなくても、いざ自分の会社に税務調査が来るとなると、焦ってしまうものです。
とくに、税理士がいない場合や、たまにしか相談できない関係だったり、「顧問契約はしていない」というケースでは、どう対応すればいいのか分からず、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
実際、税務調査は必ずしも悪質な脱税に対してのみ行われるものではありません。
売上が急に伸びた、赤字が続いている、交際費や現金管理が目立つなど、「少し気になる点がある」だけでも、税務署は調査対象に選びます。
しかも、税務調査は基本的に「事前に何の予兆もなく」連絡が来ます。
そのため、最初の対応が、その後の調査の流れや結果に大きな影響を与えることになります。
この第1回では、そんな「税務署からの突然の連絡」への初動対応と、避けるべきNG行動について解説します。
そもそも税務調査って何?
税務調査とは、税務署が納税者(法人・個人)に対して、申告内容が正しいかどうかを確認するために行う手続きです。
大きく分けて「任意調査」と「強制調査(査察)」がありますが、一般の中小企業や個人事業主が受けるのは、通常「任意調査」です。
任意調査では、税務署から電話や書面での連絡があり、日程調整のうえで調査官が訪問してきます。
「赤字だから来ない」「小さい会社だから関係ない」という誤解もありますが、実際には規模や業績にかかわらず調査対象になるケースは多くあります。
税務署からの連絡──「調査を行いたいのですが…」
7月頃は、税務署が本格的に調査を開始する時期です。
多くの場合、税務署から1本の電話で調査が始まります。
この連絡の中では、調査対象期間、税目(法人税・消費税など)、訪問予定日などが伝えられます。
電話だけでなく、書面(事前通知書)で届く場合もあります。
内容が不明瞭な場合は、問い合わせて詳細を確認しましょう。
最初にやるべき3つの初動対応
1. 調査日程と内容を正確にメモ
訪問日時、調査対象の税目・年度、調査官の名前、来訪人数などを聞き取り、正確にメモしておきましょう。
あとで「言った/聞いていない」の行き違いを防ぐためにも重要です。
2. 必要な帳簿や書類を把握
対象期間の総勘定元帳、現金出納帳、領収書、請求書、契約書、預金通帳コピーなどを整理しましょう。
クラウド会計やExcel等の記録も提出対象となる場合があります。
形式ではなく「中身の整合性」が大切です。
3. 税理士との連携、または新たな依頼を検討
通常ですと、税務調査をするときはまずは税理士に連絡が入ります。
ただし税理士と契約していない方や、場合によっては、納税者に直接税務署から連絡が来る場合もあります。
税理士と契約している場合は、すぐに税理士に一報を入れてください。
税理士がいない場合は、税務調査に詳しい税理士に早めに相談しましょう。
よくあるNG対応にご注意
以下のような対応は絶対に避けましょう:
- 税務署からの連絡を無視・放置する
- 帳簿を慌てて作り直す/改ざんする
- 税理士に相談せず、自己判断で進めてしまう
こうした行動は調査官の印象を悪くし、調査が厳しくなる原因になります。
帳簿の「後出し修正」は、重加算税などのリスクにつながることもあります。
「うちは関係ない」と思っている方ほど要注意
税務調査に関して、以下のような誤解がよくあります:
- 赤字だから調査は来ない
- 規模が小さい会社は対象外
- 個人事業主は調査されない
実際には、売上の増加、経費の偏り、不自然な資金移動などをきっかけに、個人事業主や赤字法人でも調査対象となることがあります。
杉並区周辺で税務調査に不安がある方へ
当事務所(杉並区・西荻窪)では、税務調査に不安を抱える中小企業・個人事業主の方からのご相談を随時受け付けております。
顧問契約がない方のスポット対応も可能です。
中野区・新宿区・武蔵野市・吉祥寺・三鷹市・練馬区・世田谷区・小平市など、周辺エリアの方もお気軽にご相談ください。
次回予告
第2回:「税理士がいないと、税務調査はこうなる(全体の流れとリスク)」では、税理士が関与していない場合の調査の流れを時系列で詳しくご紹介します。
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<税務調査対策シリーズ>
税務調査第1回:税務署から『調査したい』と連絡が来たら最初にやるべきこと
税務調査第2回:税理士がいないと、税務調査はこうなる(全体の流れとリスク)
税務調査第3回:税務調査の対象になりやすい会社・個人の特徴とは?
税務調査第4回:税務調査当日の流れと調査官が見ているポイント
税務調査第5回:調査でよくあるミスとやってはいけない対応
税務調査第6回:税理士がいる場合といない場合の差
税務調査第7回:税務調査後にやってくる修正申告と追徴税の真実