税務調査第3回:税務署はどんな会社や個人を調査対象に選ぶのか?

※本記事は、税務調査シリーズの第3回です。今回は「税務署はどんな会社や個人を調査対象に選ぶのか?」という点に焦点を当てて解説します。
どんな人が調査対象になる?
「まさか自分が対象になるなんて」
税務調査を受けた方の多くが、最初にそう口にします。
税務署が調査対象を選ぶ際には、いくつかの“兆候”や“リスクサイン”に注目しています。
ここでは、実際に対象になりやすい特徴とその背景について、税理士の視点からわかりやすく説明します。
1. 売上が急激に伸びている
前年度に比べて売上が大幅に増加していると、申告内容に誤りがないか、帳簿が正確か、確認の対象になりやすくなります。
特に、業種的に急成長が珍しいとされる場合(例:飲食業・建設業など)は調査選定の要因になり得ます。
2. 赤字が続いている・利益が少ない
「赤字だから調査されない」と思われがちですが、赤字が何年も続いていたり、不自然な利益調整が見られる場合には調査対象になることがあります。
例えば、役員報酬や交際費が多いのに利益が出ていない、という場合は「本当に赤字か?」と疑われることがあります。
3. 申告内容に“バラつき”や“異常値”がある
例えば前年の経費が1,000万円だったのに、今年は2,000万円になっている場合など、税務署は「なぜ?」と疑問を持ちます。
売上や経費の推移が大きく変動していたり、他の同業者と比べて極端な数値になっていると、選定対象に入るリスクが上がります。
4. 消費税や源泉所得税などの申告にミスや遅延がある
消費税や源泉所得税の申告・納付が遅れたり、内容に誤りがある場合も注意が必要です。
税務署は「適正に納税していないかもしれない」と判断し、調査の対象とすることがあります。
5. 無申告や長期間の申告漏れ
そもそも申告をしていない、あるいは2年以上確定申告をしていない場合は、かなり高い確率で調査対象になります。
個人事業主や法人で、届出や申告の義務を放置している場合は早急な対応が必要です。
6. 税務署に“情報提供”があった場合
元従業員や取引先からの通報、他の税務調査中に得た情報などをもとに、税務署が動くこともあります。
「突然来たけど、なぜ調査対象に?」というケースの中には、こうした情報提供が関係していることも少なくありません。
「自分は大丈夫」こそ危ない
上記にひとつでも心当たりがある場合、税務署が「調査候補」として注目している可能性は十分あります。
特に、普段から税理士と連携していない場合や、経理体制があいまいなまま放置されている事業者ほど、調査対応が難航しやすくなります。
税理士による事前チェックで「狙われにくい会社」に
税理士が定期的に帳簿を確認し、必要に応じて修正・指導を行っていれば、調査のリスクは大幅に下げられます。
また、仮に調査対象となっても、正確な帳簿と専門家のサポートがあれば、調査が短期間で終わることも多くあります。
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次回は「税務調査当日の流れと調査官が見ているポイント」について解説します。
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<税務調査対策シリーズ>
税務調査第1回:税務署から『調査したい』と連絡が来たら最初にやるべきこと
税務調査第2回:税理士がいないと、税務調査はこうなる(全体の流れとリスク)
税務調査第3回:税務調査の対象になりやすい会社・個人の特徴とは?
税務調査第4回:税務調査当日の流れと調査官が見ているポイント
税務調査第5回:調査でよくあるミスとやってはいけない対応
税務調査第6回:税理士がいる場合といない場合の差
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代表税理士 下島聡司